●串間駅の再生と街の顔
中心はどこだろうか?と思いつつ車でいつの間に
か通過してしまう。駅は閑散として人はあまり見当
たらない。入りたくなるような魅力ある店舗も見当
たらない。観光地としての面影も見当たらない。つ
まり、串間の顔が見えて来ないのである。
都井岬を中心とした風光明美な観光地を持ちなが
ら全くその受け入れる環境が整備されていないの
で、先ずはそのイメージに相応しい街の顔づくりが
求められるのではないだろうか。
●『観光都市』として自覚
串間市は都井岬、幸島を中心とした観光都市であ
る。最盛期には新婚旅行のメッカとして大勢の観光
客が訪れていたが、次第に沖縄や外国のリゾート
地、更には国内テーマパーク等にお客を奪われ、現
在では深刻的な状況にまで落ち込んでしまってい
る。
時代と共にニーズが変化したことも大きな要因で
はあるが、それとは別に受け入れ側の甘えと努力不
足も大きな要因と言えるのではなかろうか。厳しい
言い方かも知れないが、特にこれまで中心市街地の
商店街、あるいは行政が積極的に受け入れ対策をし
てきたとは思えない。受け入れの案内が少ないばか
りか観光都市のイメージづくりや店づくりなど観光
客を受け入れるようなサービスはほとんどなかった
に等しいのではなかろうか。
現実は都井岬を中心とするホテルや民宿、土産物
店等の当事者たちだけが観光者の受け入れ努力をし
ていたに過ぎなかった。このような状況で観光都市
として自負できるであろうか?今地方都市が見直さ
れて来ている状況で、これらの埋もれた宝物を再認
識し磨きあげることが今望まれている。
●市役所出入口と駐車場
旧市庁舎の頃の正門は仲町商店街からアプローチ
していた。従って職員や市民は商店街を通り市役所
を利用していた。車の少ないその時代はほとんど歩
くか自転車での利用者が大半を占めていた。遠くか
らの利用者はバスや列車を利用し駅から徒歩で商店
街の中を歩いて市役所を利用することが一般的で
あった。
市役所を利用した市民や外来者は用事を済ませる
と商店街で買い物をしたり食事をしたりして楽しん
でいたため、商店街はいつもにぎわいを見せていた
のである。
しかし、現在では駅と運動公園を結ぶ県道今別府
串間線から直接進入するアプローチとなり商店街を
車で通ることがない。市役所を利用する市民や外来
者は用事が済むと商店街に立ち寄ることなく直接帰
路についてしまうようになってしまった。
特に職員の駐車場も市役所の裏側に設けてあるた
め、職員は裏から入り裏から出ると言った行動に
なってしまっているのである。商店街にとっては大
きなマイナスである。従って市役所の出入り口と駐
車場の関係は最も重要な課題であろう。
●アメニティの欠如
街なかを歩いて楽しいだろうか?実際、車は頻繁
に通っているものの人陰がまばらである。歩く人の
為の歩道、ベンチ、木陰、ミニ広場、休憩施設、ト
イレなどのアメニティの施設がほとんど整備されて
いない。
自分が歩きたくない街を誰が訪問するだろうか?
誰も歩かない街はにぎわいはなく活力もない。この
ような街、商店街は衰退して当然かも知れない。
従って、行きたくなるような、遊びたくなるような
アメニティ空間の創出が求められる。
●旧寿屋の行方
街の中に大型店舗が撤退し廃虚になっている。中
心部に大きな廃虚があると街全体の活性化に大きな
影響を与える。当時は一番のにぎわいがあり、街の
活性化に大きな影響力を持っていた。しかし、一度
大きな商業施設が廃虚になると全く人の流れが変
わってしまった。このまま放置するわけにもいかな
い。しかし、一体どのような使い方や活用方法があ
るのだろうか?横に市民駐車場が併設されている。
これらと一体的なまちづくりの視点から考える必要
があるのではなかろうか。
●天神川の氾濫と環境整備
大雨が降ると直ぐに氾濫し、商店街は浸水を繰り
返してきた。その天神川がようやく改修される運び
となった。また、遠い昔から『川やきれいな水』、
のあるところを求めて人は生活してきた。しかし、
生活の向上と共に多くの生活排水が川に流れ出し、
川は次第に汚れを増して来た。さらに車の普及と共
に道路や駐車場が舗装されて雨水を一挙に川へと流
すようになっていった。その結果、河川の水嵩は一
挙に増し洪水を起こす結果となったのです。洪水を
防ぐために護岸をコンクリートで固めるなどして洪
水対策を行ってきた。結果的には、雨が降ると急激
に水嵩が増えそれを防ぐため又護岸を高くすると
言ったイタチごっこをこれまでに繰り返してきたの
です。
更に生態系を失った川は汚れを増し悪臭を放つよ
うになってきた。このような状況になると人は川か
ら次第に離れてしまいます。人の目に触れないよう
になると汚染は拍車をかけるように進み、街の下水
道と化した。今こそ生態系のある豊かなきれいな水
を取り戻すと共に住民に親しまれるような親水性の
ある河川にしなくてはならないのではなかろうか。
●旧吉松邸の保存再生
旧吉松邸は仲町の中心にあり毎年、7月23日には
愛宕まつりが盛大に行われている。子供から大人ま
でそして家族連れで夜に楽しめる愛宕まつりは串間
市の夏の風物詩となって定着している。過去におい
ては、私的な祭りであったため市民のまつりとして
はあまり認知されていなかった。
ところが平成15年に旧吉松邸が串間市に売却され
一ることとなったが、一時は他人の手に渡り愛宕ま
つりも危機的な状況となった。しかし、串間市が買
い戻すたことで、多くのボランティアの力で無事に
愛宕まつりが存続することとなった。民間から行政
の手に渡ったことで市民に親しまれる利活用が望ま
れる。
旧吉松邸は商店街の中心部に位置しており商店街
の活性化に繋がると共に、市民に親しまれる施設と
してのアイデアが望まれるところである。
●お祭り広場の迷走
毎年のように行われている市民秋祭り。串間市の
最大イベントであり、パレード、作品展示、地場産
品販売などが開催され集客も多いが、現在では一同
に会する大きなイベント広場がなく分散されて開催
されている。消費者にとっては一ケ所に集積でき、
いつでも自由に人の集う広場が望まれて当然であろ
う。
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