人の心理と行動
 人の心理や行動はまちづくりにおいて時として大きな影響を及ぼしていることが多い。上がりにくい階段、暗く感じる照明、座る場所、人に与える印象など様々な場所や空間、時間において変化するのである。よかれと思ってもその反対に思われたり逆に意外にも予想以上に効果があったりと様々である。
 つまり、人の心理と行動を良く理解した上で企画、計画、実施することをして行く必要があるのです。

行動パターン
●広い空間では隅から座る
●レストランでは窓側、隅から座る
●写真撮影は背景を選ぶ
●対比すると分かる(明暗、高低、広狭など)
●着るものにより動作が変わる
落ち着きのある空間
●木陰
●四畳半
●ほのかな暗さ
●音楽のあるところ
●やすらぎのあるところ
吸引力のあるもの
●明かり
●欲しいもの
●壮大なもの
●必要なもの
●大きな目標
●見隠れするところ
●経験したところ
●楽しいアプローチ
●いい香り
好奇心のもてる空間
●ミステリー
●きれいなもの
●美しいもの
●見ごとなもの
●神秘的なもの
●楽しいところ
●動くもの
●話題
記憶に残ること
●体験したこと
●記念
●感動
●初めてのこと
反発を生むもの
●障害物
●つまらないもの
●汚いもの
●醜いもの
●刺のあるもの
●臭いもの
●急な階段

間違った照明
 飲食店において蛍光灯を使っていることがある。これは間違った照明計画である。蛍光灯の光では肉や魚等青白く光り不味く見える。是非、電球色の暖色系の照明器具をお薦めしたい。またテーブルの上や部分的にスポット照明を使い部屋全体にメリハリを付けるとより空間が豊かになり美味しく食べられる。

人の目線はどこに向くのか?
 直接見える便所のドア、待ち合わせ椅子、正面を向いているカウンターなどいやな思いをしたことがあると思います。人は知らない人から直視されたり、嫌な物、見たく無いものが直接見えるようなことは気分が良いとは言えない。常に人の目線はどこに注がれるかと言う視点で考えて行けば自ずから問題点が解決するものである。

体験したことは忘れない
 水泳や自転車乗り、ピアノ演奏、ゴルフなどを理論だけでマスターすることはあり得ない。例えば10年間泳ぎの勉強をしてさあ泳いで下さいと言われても先ず泳げないであろう。やはり、水の中に入り実践して訓練をしない限り決して泳ぐことは不可能なのです。逆に一度泳ぐことが出来た人は何年間のブランクがあっても泳ぐことができます。つまり、五感を通して体験したことは一生涯忘れることはないのです。

明るいと明るさは違う
 昼間の懐中電灯は全く役に立たない。しかし、夜になると明るく見える。しかも、照度は昼も夜も同じなのに。周りが暗くなるから明るく感じるのであって懐中電灯が夜になって明るくなったわけではなく周りと比較して明るく感じたのである。
 このような現象は他にも多く存在する。高いと高さ、重いと重さ、速いと速さ、若いと若さ、安いと安さ、強いと強さなど。ここで『さ』とは比較する相手があるからそのものの大きさや存在感が実感として理解できるのです。

丸見えは不安!
 目線を遮るものが何もない空間は落ち着くことが出来ず、ついその空間から遠ざかってしまうものである。広々とした空間や天井の高い空間も同様なことが言えます。常に人から見られていると言うことはすごく不安を感じるのが本能であろう。格子や簾(スダレ)、障子、ブラインド、暖簾(ノレン)など昔から日本人の智恵として見えそうで見えないような仕掛けを施すことで落ち着きや安心空間を創り出してきた。

写真撮影は背景を選ぶ
 旅行で記念写真を撮る時皆さんはどうしますか?恐らくバックを景色を気にして撮るでしょう。後ろにゴミ箱や醜い看板などがあるとすれば、必ず場所を変更して少しでも美しい景色を背景にするのが当然ではなかろうか。街並も同様に背景になるような美しくすることが人を引き付け入るポイントといえるのです。

人は明かりに集まる習性がある
 闇夜より昼間に行動するように人の習性はできている。ほとんどの動物も同じように昼間、太陽と共に生活が始まる。(例外の動植物もあるが…)
 街中の生活においても明るいところに人は集まっていく。薄暗い明かりよりきらきら光る明かりの方がより人は集まっていく。

習慣は消えない
 癖、言葉、習慣は知らず知らずの間に身についてしまい本人にはなかなか気がつかない場合が多い。いかし、全く違う習慣をもっている人からはすぐに違いが分かるのである。常識だと思っていあtことでも違う物差をもっている人からみると非常識にみえることもある。良い悪いは別にして一度身についた習慣はなかなか消えないものである。